人生80年時代の生涯生活設計(19)〜【教訓】幸福とは仕事をすることだ(読売新聞「本よみうり堂」より)〜 |
【教訓】幸福とは仕事をすることだ(2007年10月14日付読売新聞12版13面文化欄「本よみうり堂」より) |
・・・最近、定年近いエリートサラリーマン二人からこんな言葉を聞いた。Aさんは「私の人生は間違っていたかもしれない」。Bさんは「今は会社の穀潰しをしているだけ」。二人とも誰もがうらやむ学歴、年収、家庭がある。が、今は閑職にあり、幸せそうには見えない。
定年後は趣味に生きるらしいが、それまでの数年間は“死んだフリ”らしい。高収入も手離したくないし、退職金も満額欲しい、と。経営の安定した大企業や役所には、こういう人たちがたくさんいる。
“死んだフリ”でいいのだろうか。後進の育成でも、若手がやりたがらない煩瑣な雑務でも、何かに打ち込んでいないと、人生のうちの数年が無駄になりそうだ。
社会の役に立つことが仕事だし、幸福感はそこから湧き上がってくる。この根本を見失うと、いくら仕事のノウハウを持っていても定年まで頑張れないのではないか。・・・(本よみうり堂より)
ここまで読んだだけで、まさに我が意を得たりの思いです。私は、CGBSホームページの「CGBSのレポート一覧」で、「人生80年代の生涯生活設計」をテーマに、現役時代のできるだけ早いうちから定年後の自己実現(自分らしく生きがいを持って毎日を過ごす)のための取り組みを提唱してきました。定年近い方が“死んだフリ”でいいわけがありません。眼前の仕事に取り組みながら、定年後の人生設計を考えていれば、このような考え方は自然に消滅していきます。
・・・今回はお勧めが二つ。アラン『幸福論』(岩波文庫)とヒルティ『幸福論』(白水社)。後者は分厚いので、同書を平易に解説した齋藤孝訳・解説『自分の人生に一番いい結果を出す幸福術』(三笠書房)がとっつきやすい。
「自分でつくる幸福というのはけっしてだまさない。それは学ぶことだから、そして人はいつも学んでいる」
「人はもっともつらい仕事をしている時、疲れを感じないもので、心も軽やかとなる。そうして全きくつろぎ訪れ、最後にはよい眠りを楽しむのである」(以上アラン)
「世の中には『自分の力でどうにかできるもの』と『どんなにがんばってもどうしょうもないもの』がある。/成功者とは『どうにかなるもの』だけに効率よくエネルギーを注ぎ込んだ人である」
「最も快適で。最も報いられ、しかもお金がかからない時間の使い方は仕事なのだ」(以上ヒルティ)
何がしか社会の役に立つことが、生きることだ。秋の夜長、定年近い方ばかりでなく、若いビジネスマンにも読んで欲しい・・・(本よみうり堂より)
自己実現は、人生において自己の可能性を追求することです。生存・経済的欲求は、人間の最低次元の欲求であるのに対し、自己実現の欲求は、人間の最高次元の欲求です。仕事だけが人生ではありませんが、人生80年時代に人生の三大不安から脱却し、自己実現の欲求を満たすには、そのための費用確保の手段が必要です。ここに紹介されている二つの『幸福論』を参考に、自分の人生に一番いい結果を出す幸福術を考えてみてはいかがでしょうか。