人生80年時代の生涯生活設計(6)〜人生の三大不安をチャンスに〜 |
人生の三大不安(貧困・孤独・病気)をチャンスに変える生きがいの三要素(富・労働・健康) |
年代によって、不安の内容が違うかもしれませんが、誰にでも共通な「人生の三大不安」は、貧困・孤独・病気です。
一般的にいわれている老後生活の惨めさは、この人生の三大不安が具現化したものです。すなわち、働いて収入を得ることができず貧困な生活になり(貧困)、家族や友人の死、子供の独立による親離れ、また新しい生活環境にも適応できないまま、やることもなく孤独な生活になり(孤独)、加齢による老化現象とともに病気がちで(病気)、惨めな生活に陥っていくという構図です。
老後の生活を、豊かで充実した生きがいのあるものにするためには、最低限この「貧困・孤独・病気」という人生の三大不安(あるいは「3つの悲惨の要因」)を取り除き、老後への不安や危機感を払拭する努力として、できるだけ早い段階で生涯生活設計を準備し、実行することが大切であることは言うまでもありません。
では、これらの悲惨な生活イメージから脱却して、豊かな生活イメージを作るための「生きがいの指標」の三要素−富・労働・健康−について見てみましょう。
■ 富:貧困に打ち勝ち自己実現を可能にするのに不可欠な存在です。富についての基本的な考え方は
最低生活費+自己実現の費用(人生に自己の可能性を追求する費用としてのα分)
最低生活費:生存・経済的欲求を満たす、私たちの最低次元の欲求
自己実現の費用:自我・尊厳の欲求、自己実現の欲求を満たす、私たちの最高次元の欲求
■ 労働:私たちは、労働や余暇を通じての連帯感によって結びつけられ、社会的人間としてそれぞれの役割を果たしています。だから、労働としての職業活動や余暇活動がなくなるということは、
人間同士の結びつき(友情・連帯など)を失うこと
私たちの社会的欲求(存在・所属欲求など)を満足できない
になります。
そこで、孤独から抜け出そうとするならば、生涯を通じての労働としての職業活動(独立・起業が一例)や余暇活動の中からライフワークを心がけ、社会における人間関係を保つことが大切になります。
■ 健康:WHOの定義では、肉体的、精神的および社会的に完全に良好状態にあるということです。健康で生活するということは、
私たちの生存欲求
経済的欲求
のような生理的欲求・安全の欲求を満足させてくれます。聞き慣れた言葉ですが、「上手に歳をとること」を、いつの時代にも心がけることが大切です。
私たちの老後の生活は、生きがいの指標の三要素(富・労働・健康)が、生活時間の中で有効に組み合わされることによって豊かで充実した生きがいのあるものにつながるはずです。そして、貧困の惨めさから脱却して、生きがいとゆとり・充実感のある生活を過ごすには、自己実現の費用を確保することが不可欠です。